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木が生きた証を魅せる天板 絶妙に繊細に配された脚
厳しい北海道の自然で育った木々は、吉田秀造によって再び命を吹き込まれる
道北の冬マイナス30℃にもなるとても厳しい自然の中で育った樹達は、緻密で良質な木材となります。その木達はとても想像力に溢れ、豊かな生命力を感じさせます。それを直視した時私は、節、割れ、入り皮等、俗に欠点と言われるものさえ美しいと感じます。風雪に耐えてきた樹がその生命を終え、再び家具になって蘇った時、そこには森で過ごした樹の生命と時が刻まれているのです。
「ニングル」はアイヌ語で北海道の森の奥に住む「森の小人」を意味します。森を守るニングルに、『あいつなら木を伐っても仕方ないさ』と認められるような家具作りを目指しています。
家具工房ニングル
吉田秀造さんには、雑誌「チルチンびと」「住宅特集」「建築知識」といった雑誌にも度々登場する著名な建築家、横内敏人氏も長年信頼をよせる。横内氏は作り付けの家具だけではなく、テーブルやチェアを建主に提案している。「内装の中で、家具は最も重要だと考えている。特に体に触れる椅子やテーブルは毎日欠かさず使用するものであり、目の近くに置かれるため空間の印象に大きな影響を与える。」と横内氏。
北欧家具も多用する横内氏は「北欧家具ばかりだと、都会的になりすぎてしまって。吉田さんの家具は力強く野性味があるが、民芸調にならずフォルムが洗練されている。」と魅力を語る。
横内 敏人(よこうち としひと)
一級建築士。横内敏人建築事務所代表。京都造形芸術大学大学院教授。
野趣に富みながら端正な、また日本らしいおだやかさと現代生活に則した欧米の生活文化のよさをあわせもつ住宅を生み出している。建物のみならず、家具や庭園を含めた総合的な空間提案を行なっている。
旭川から車で北に1時間、人工400人ほどの小さな町・剣淵町。
その町の廃校となった木造の小学校に家具工房ニングルはある。
材料置き場は体育館。
製材・乾燥した材を、もう一度丸太の状態に積み直して保管している。
所狭しと並べられた板を一枚ずつ広げては戻し、その表情をどう生かすか決めてゆく。
吉田さんは一番大切なこの工程を「木と語る」と表現した。
そしてこの作業だけはたった一人で行う。
野性動物の写真家という異色の経歴を持つ彼の眼が、
厳しい自然を生き抜いた樹々の表情を、一番美しく見えるように切り取る。
さらにその天板を引き立てるスッキリとした脚は、
道具として長く生き続けられるよう追及された技法で緻密で繊細な作りをしている。
シンプルなデザインと確かな技術に裏付けされた強度を併せ持つ
独特で絶妙なバランスが数多くの人を虜にする。
板の幅方向をつなぐことを「接ぎ(はぎ)」と言います。より広い幅の板が欲しい時に何枚かの板をつなぎ合わせて使います。その「接ぎ」方の違いによっていろいろな呼ばれ方をします。「隠し雇い実接ぎ」は、接ぎ合わせ面となる両木端の共通位置に実溝(さねみぞ)と呼ばれる溝を切り、溝にあわせて別に実(さね)を作ってこれを挟み、接合する方法です。こだわりの家具作家である吉田さんは「全体的になるべく仕口(しぐち)が出ない様にしています。仕口が見えると技を見せつけているようでしつこい感じがします。」スッキリとした美しい家具を作るため端まで溝を切らず中に収めて、実(さね)が外部から見えないようにしています。(吉田さん談)
一般的な蟻桟は板の片側の木端から桟を打ち込むのがスタンダード。美しい家具のフォルムにこだわる家具作家の吉田秀造さんは天板の裏にどうして組み込まれたかわからないように仕上げています。技の名前は「送り寄せ吸い付き桟」蟻桟(ありざん)を木端から打ち込むのでなく、板の途中から蟻桟を打ち込むので板の端部に蟻桟の打ち込み跡が残らないことです。ノミで丁寧に凹凸をつけ、天板と蟻桟を噛み合わせて外れないように組み合わせます。とても手間が掛かりますが、末永く使って頂くためには難易度の高い技術に常にこだわっています。ピタッと天板に吸い付く様におさまります。
4本脚ではなく立ての脚をテーブルの中心に位置させ、イスから出入りがしやすい様にしています。
全てほぞ組で必要な所は楔でしっかり補強。取り外し式なので高さは自由に制作できます。更にその2本の脚を幕板と楔でしっかり固定しています。
ご体感ください
居心地の良さを
見て触れて