2016.6.27
ノルウェー生まれの家具
ノルウェーの代表的な家具であるシエスタ。
ノルウェーのフィヨルド真っ只中の小さな町、オーレスンという街で生まれた
イングマール・レリング(Ingmar Reling 1920-2002 )によって1965年にデザインされました。
実はこのシエスタ。
人がゆったり掛けられる大きさがあるのですが、
作られているノルウェーから送られてくる梱包は驚くほどコンパクト。
↑ こちらは開封した箱。
↓ 箱から出したシエスタのハイバックアーム。
いわゆるノックダウンというスタイルで、現場で組み立てられる方式です。
実はパッケージはとても小さくなるように、そして特殊工具など必要なしに
比較的簡単?(慣れるまでコツが要りますが…)に
現場で組み立てられることまで考えられてデザインがされています。
ではなぜこの様なデザインになったのかと思い、資料をあさってみると、
ノルウェーという地理的要素、そして時代背景がありました。
こちらがノルウェーの場所。
ご覧のとおり、三方を海で囲まれ、スウェーデンとの国境はスカンジナビア山脈です。
そして、1965年は冷戦時代。陸続きの先は当時ソビエト連邦。
つまり、ノルウェーで作ったものを輸出するには船しかありませんでした。
コンテナに何個乗せられるかが至上命題。
パッケージを可能な限りコンパクトにすることによって、大幅にコストダウンできます。
他にもノルウェーの代表的な家具、STOKKE社のTRIP TRAPや、balans Easyなど
どれもノックダウンでパッケージがコンパクトになるように考えられています。
「必然的なデザイン」
近年シンプルなデザインの商品が多く出回る中で使われる言葉ですが、
まさに必然性の中から生まれたノルウェーの家具。
そこには、デザイナーと作り手の
センスだけではなく、家具の構造、耐久性、そして問題に対する創意工夫。
カタチだけ真似たものが多い中で、
その製品がその製品になるべくしてなった、
そんな背景も世界中で愛される理由のひとつではないでしょうか?