デンマーク家具を巡る旅5
「ベアチェアの話」
PP Mobler 名作を今も作り続けるクラフトマン集団を訪ねて③
最高傑作”Papa Bear Chair”の話
是非一度座って頂きたい椅子がある。
ウェグナーの最高傑作ベアチェアである。
ある人は言う。
「生きているうちに、一度は座ってみた方がいい」と。
またある人は「あの座り心地とデザインがかわいいので、夢にまで出た」とも。
これは最高傑作誕生の全てです。
ウェグナーが1951年にデザインした”ベアチェア”。
その名の由来は”熊”が手を広げて立っているような愛嬌のある姿。
「座るとアーム部分がまるで後ろから抱きしめられる熊の手のようだ」と表現された。
ベアチェアは1951年、ウェグナーがAPストレーン社(1976年廃業)のためにデザインされたもので、
PPモブラーは1953年末には既にベアチェアのフレームのサブ・プライヤーとして製造をしていた。
PPモブラー社は、2003年に創立50周年記念としてベアチェアを自社にて完全復刻。
木部はもちろん、内部のクッション材も当時使われていた麻などの天然素材を使用し、
座り心地と耐久性もオリジナル以上に仕立て上げた。
今もPPモブラーで作り続けられている。
見えぬところまでこだわった強固なフレーム
この写真の後脚の部分は、完成時は大半が布に覆われるが、贅沢に一本の長い部材を使用し、
アーム・背部の部材を全て組み込み一体化させている。
見えない部分に安価な素材を使用し、一定の強度のある見た目が同じベアチェアを作ることはできる。
だが、PPモブラーはより長く使ってもらうために一切妥協せず、長く使用しても木部に破損が見られることは一切ない。
熟練した職人による完全手作業による縫製
デンマークには縫製をするためのマイスターがいる。
その熟練の職人でさえ、一脚の製作にファブリックの場合で丸1週間、革に至っては丸2週間を要するという。
その熟練マイスターの技術をご覧頂きたい。
クッション内部は全て天然素材。呼吸する素材ゆえ気持ちがよく、経たりがない。
全て手作業で詰めている。
素材
-麻
-ヤシの木の繊維
-コットン
-馬の毛
ポケットコイルの上に詰め物をして、表面に布を被せる。
布の位置を決めるのは簡単に見えて、縫い目のバランスを整えるのは非常に難しい。
ボタン留めの作業は一つずつ通して後ろで絞る。
力もいる作業だが、12個のボタンのバランスを均一にする必要がある。
決められたベアチェアのカタチがある。
何度も何度も治具(型紙)を当て、ボタンを引っ張ったり、
詰め物の調節を繰り返しながら、最適な硬さと形に整える。
パイピング(縫い目の間を丈夫にするもの)の芯はコットン。
安価なナイロン素材は経年劣化で縮み寄れが生じてしまうが、コットンはそれが起きない。
<工場で出荷を待つベアチェア>
同じベアチェアが並んでいることに旅をお供したみんなでとてもテンションが上がりました。
どこかのホテルへ出荷されるのだそう。
「何この包まれ具合!!!!???とにかく絶妙!この感じ…すごく安心する!!!!」
とにかく最高に心地の良い椅子”ベアチェア”。
きっと皆様も至福の時を感じて頂けると思いますよ。
ベアチェアの魅力伝わりましたか??
もっと詳しくは是非店頭で。
もちろん実際に心地良さを体感してみてくださいませ。
デンマーク家具を巡る旅6 「PP701チェアの話」へ続く