デンマーク家具を巡る旅6
「PP701チェアの話」
PP Mobler 名作を今も作り続けるクラフトマン集団を訪ねて④
PP701チェア、ウェグナーが愛した椅子の話
こちらのこの椅子、線が細くとてもシンプルですが実はとっても手の込んだすごく丈夫な椅子なんです。
今日はそんなPP701のお話。
1965年にデザインされたPP701チェアは
当時のウェグナーの作品としては珍しいスチールフレームを使い、
座面のレザーと木を組み合わせた椅子だ。
<現在万寿実で展示中のPP701チェア>
インテリアに並べてもよしなチェア
PP701チェアの最大の特徴背中の木部の話
この繊細で美しい背中の木部は6個のパーツから成り立っている。
4つの無垢材を2枚のとても薄い木材で寄木にし、さらに十字の「契」で結んだものを熟練の職人によって削りだされたものだ。
上下左右対称となっており、本来左右の部材を繋ぐ際に強度を高める役割の「契」を
あえてデザインとするあたりはさすがウェグナーというところだ。
組み合わせた後、初めは荒削りとして機械で削られるが、
最後の仕上げは熟練の職人によって手作業で仕上げられる。
塗装をする前の職人によって仕上げられたものを触らせてもらったが、
木とは思えないほど緻密で滑らかな肌触りだった。
木部から座面、脚部の線はステンレススチールを使用している。
とても細いが傷がつきにくく、とても強度のあるものだ。
脚と木部の接続部は熟練の職人によって加工され、ピタリと収まる。
接続部も使っている間に外れたりすることは一切なく、とても頑丈だ。
このPP701チェアはウェグナーの自邸のダイニングでも使用されており、ウェグナーの奥様のためにデザインしたと言われる。
ウェグナーが自分がデザインした中でどの椅子が一番好きかと奥様に訪ねた。
奥様が答えたのは「PP701チェア」だった。
「私のためにデザインしてくれたから」と。
それを聞いたウェグナーはこう答えた。
「私もこのPP701が一番好きである。なぜなら君(妻)が好きな椅子だから」と。
実はこんな深い夫婦の愛の詰まった物語があるこのPP701チェア。
ウェグナーのチェアの中でもとても小ぶりで非常に軽い!!
ウェグナーが奥様のためにデザインしたというのが、こういうことからもわかります。
なので特に日本人の女性にはとても喜んで頂けるチェアです。
深く腰を掛けて頂くと、自然に背筋がカーブしているのが分かります。
特に腰が痛くどんな椅子に掛けても体に合わない、なんて方には
長時間座っていても「疲れない、腰が痛くならない」を実感して頂けるはずです。
そして背中のカーブが横を向いても体を受け止めてくれる、そんなチェアです。
PP701チェアはレザー張りが主流。
万寿実ショールームには、デンマークで最後のテキスタイルデザイナー、ハナ・ヴェーデルさんとPPモブラーのコラボで誕生したPP701チェアを展示中。
ハナさんの工房へは今回のデンマークでお邪魔させて頂いたので、またご紹介しますが、とても美しいテキスタイルです。
信じられないほど丈夫だともおっしゃっていました。
そんなPP701チェアの限定品もございます。
掛け心地と合わせてハナさんのテキスタイルもご覧いただければ幸いです。
デンマーク家具を巡る旅7 「The Chairの話」へ続く